コラム

COLUMN

2023.03.23

スカパー!のコンタクトセンターを運営する社員ブログ

第8回 KPIの信用を左右する、ミクロの世界(2/3)

分析との相性が悪い「転送」

「転送した場合、加入率はどうなりますか?」

お電話くださったお客様を分析をする上でも、対応したオペレーターを分析する上でも、細心の注意を払う必要があるのが「転送」です。

共通コールID整理一覧表-チェック方法

前回、お話しました通り、共通のコールIDで、異なるシステムのデータは繋がりました。だから、これで大丈夫ですよね?
いいえ、そうとは 言い切れないのが「転送」です。

SPCCオペレーション体系図

こちらは、私たちのオペレーション体系図ですが、Class1 は Class2 へ、 Class2 は Class3 へ、上位のオペレーターへと転送する(お客様の対応を 別のオペレーターへ引き継ぐ)ことがあります。

「Class2のAさんから転送を受けた、
 Class3のBさんが加入を受付しました。
 Class 3のBさんが受付した1件は、Bさんにカウントされますか?

この問題は、とても複雑なので、答えは簡単には出せません。

転送が絡むケースでは、異なるシステムの間に共通のコールIDが有るかだけでなく、転送した後、そのコールID番号がどう変わるのか 、コールID番号の生成ロジックまで考える必要があるからです。

そして、コールID番号の生成ロジックを確認した結果が、こちらです。

コールID番号生成ロジック確認の結果図

コールIDが繋がっても、転送前後で、コールID番号を生成するロジックが揃っていない場合、それらを繋げると、このような結果になります。

加入率を計算するデータ

実際に生データを扱ったことのない方は、このような実例を見ても ピンとこないかと思いますので、国語で言い直してみます。

Class2のAさんから転送を受けて、
Class3のBさんが加入を受付しても、
Class3のBさんにはカウントされず、
Class2のAさんに、間違ってカウントされる

つまり、公平な競争ができる数字にならない、ということです。オ ペレーターは、自分の評価に直結する数字には敏感ですので、うやむやにはできません。データコンシェルジュは、基幹システムに対して、ロジック変更が可能かを確認します。

具体的には、こうして欲しい、とお願いします。

ロジック変更依頼の具体例

実際、私たちは過去に何度か、ロジックを変更してもらいましたが、最近のシステムでは、転送後のコールIDを2パターン保持していることが 一般的です。

パターン1 転送前と転送後が、同じ番号(001)
パターン2 転送前と転送後は、異なる番号(002)

転送前のオペレーター応対に問題があり、すぐにその通話を特定したい時など、用途によっては、転送後も同じ番号(001)であることが望ましいケースもありますので、転送後のコールIDは2パターンある、と理解できていればよいかと思います。

ただ、 転送が絡むケースの分析が複雑であることに変わりはありません。コンタクトセンターでは、ノンボイスも含めて「転送」という概念からは逃れられないことと思いますので、「転送」の分析が複雑であることに関しては、覚悟を決める必要がありそうです。

次回は、「ID登録は、KPI設計の一部」について、解説します。

 


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『SPCCの成果創出サイクルを支えるシステムと現場の架け橋 ~DX 推進の秘訣はデータ活用の内製チームづくり~』

第1回
システムと現場の架け橋
第2回
架け橋の役割
第3回
架け橋によって実現してきたこと(前半)
第4回
架け橋によって実現してきたこと(後半)
第5回
毎朝、前日のKPIを自動配信する目的(前半)
第6回
毎朝、前日のKPIを自動配信する目的(後半)
第7回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(1/3)
第8回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(2/3)
第9回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(3/3)
第10回
架け橋の成果(最終回)

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