コラム

COLUMN

2023.04.20

スカパー!のコンタクトセンターを運営する社員ブログ

第10回 架け橋の成果(最終回)

コンタクトセンターアワード2022審査員特別賞について
掘り下げてお話をしてきましたが、今回が最終回です。

架け橋の費用対効果

ここまで9回に渡り、DX推進の秘訣として、システムと現場をつなぐ架け橋(=データコンシェルジュ)の大切さと、彼らの哲学をお伝えしてまいりましたが、これまでの話を費用対効果の視点で整理すると、次の施策➊➋❸➍になります。

費用対効果視点での整理表(施策とそれに伴うコスト削減)

施策 ➊ データコンシェルジュの体制づくり

10年以上前、私たちは、複雑化するシステムのデータ管理を、各担当者ごとに、業務委託先へ丸投げしていました。

サービスの拡大に伴い担当者が多様化していった概念

サービス拡大と共に、担当者が増え、業務委託先が増え、高コスト体制になっていくと同時に、各担当者は自分の担当範囲しか見ないので、分割損が大きく、データ活用が停滞していました。

そこで、丸投げしていた業務を整理して、自分たちでやるべきこと、できることを内製化して、全業務の全データを一括管理する、データコンシェルジュができました。

丸投げしていたこと/反省したこと

その結果、年間6,000万円の業務委託コストを削減し、またこの状態が、現在も続いております。

施策 ➋ KPI配信システムの内製開発

ただ、全業務の全データを一括管理する体制(=データコンシェルジュ)を組織するだけでは、解消できないツール課題がありました。

Excel+Access+標準レポート運用での課題

Excel + Access + 標準レポートを駆使した運用では、単純なデータ取得/集計作業が完全には排除できず、データ分析のスピード感にも欠けるので、自分たちでコントロールできるツールを内製開発しました。

それが、KPI配信システムです。

具体的に言いますと、BIツール(QlikView)を、ダッシュボードではなく内製RPAツールとして導入しました。

BIツール(QlikView)を内製RPAツールとして導入したKPI配信システム

そしてその結果、単純なデータ取得/集計コストを年間1,000万円削減し、毎朝、前日のセンター全体から個人別まで、KPIを自動配信できるようになり、センター運営の利便性が向上しました。

施策 ❸ ダッシュボードの有効性トライアル

第4回 架け橋によって実現してきたこと(後半)」にて、お話した内容になります。
データ活用は、得られる効果がぼんやりしており、過剰にコストを投じてしまいがち。

ゆえに、限界ラインを見極めるチカラを育成しておくことで、発生したかもしれない不要なコストを抑えることができる。

施策 ➍ クラウドシステムの内製開発

第3回 架け橋によって実現してきたこと(前半)」の「現場とITのマルチは双方向」にて、現場を知らないIT社員も、お客様応対を経験して、利便性に直結するシステムの要件定義を担う、とお話しましたが、その結果、ITチームの体制が進化しました。

Before:外注体制、After:常駐業務委託との共存体制

以前は、システムの要件定義は、現場を知らない外注に任せておりましたが、やはり、現場を知らずして、現場の役に立つシステムは作れない。

現在は、IT社員がオペレーション現場を学び、IT資格を通してITも学び、システムの要件定義を担いながら、開発を進める体制になりました。

実際、CRMとして利用しているクラウドシステム(Salesforce)の開発は、全体の90%を内製開発できるようになり、外注コストを年間2,000万円削減しました。

施策 ➊➋❸➍をまとめたイメージが、こちらです。

➊データコンシェルジュ体制、➋KPI配信システム内製、❸ダッシュボードトライアル、➍クラウドシステム内製によるコスト削減

架け橋からのメッセージ

成果創出サイクル必要のないコストを削減し、最小限のリソースで持続可能にすることで、気軽に試せる安心感が広がっていき、品質向上も同時に実現できる。

以前、データコンシェルジュの一人が、こう言っておりました。「オペレーション現場の仕事は、私にはできない。みんなスゴイことをやっている。だから、できる限り現場をサポートしたい」

DX推進において、ITスキルの習得やデータ活用は不可避だが、不要不急。ゆえに、会社の垣根を越えたノウハウ共有が不足している。
その架け橋になりたい想いから、私たちは、この連載内容をコンタクトセンターアワードで発表し、ブログ記事にいたしました。

少しでもこの想いに共感を頂けましたら幸いです。ぜひとも、みなさまと共に、最高の架け橋を作っていければと思います。

 


●コンタクトセンターアワード2022審査員特別賞

『SPCCの成果創出サイクルを支えるシステムと現場の架け橋 ~DX 推進の秘訣はデータ活用の内製チームづくり~』

第1回
システムと現場の架け橋
第2回
架け橋の役割
第3回
架け橋によって実現してきたこと(前半)
第4回
架け橋によって実現してきたこと(後半)
第5回
毎朝、前日のKPIを自動配信する目的(前半)
第6回
毎朝、前日のKPIを自動配信する目的(後半)
第7回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(1/3)
第8回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(2/3)
第9回
KPIの信用を左右する、ミクロの世界(3/3)
第10回
架け橋の成果(最終回)

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