コラム
2023.03.05
コンタクトセンターアワード2022審査員特別賞について掘り下げてお話をしてきましたが、いよいよ終盤です。
最終回では、費用対効果(マクロ)についてお話しますが、その前に、避けては通れないミクロの世界に、少しだけお付き合いください。
やりたいことがすべて備わった、オールインワンの夢のようなシステムには、興味を惹かれますが、現実には、システムに合わせて運用するか、マイクロサービス(小さなサービスの組合せ)で運用するのが主流ではないかと思います。
これは、第1回記事に掲載しました、弊社のシステム俯瞰図です。 エコシステム、とも呼びますが、PBX/IVR/CRM/ナレッジ/BOT/音声認識/感情解析など、独立したひとつひとつのシステムが組み合わさって構成されています。
データコンシェルジュは、よくこういう相談を受けます。
「加入を検討しているお客様が、オペレーターの応対によって
どのくらい加入して頂けたのか、個人別に分析したい」
たったこれだけのことなんだけど、どうしても上手くできない、と。
独立したシステム同士とはいえ、すべて繋がっているのだから、当然データもつながっていて、簡単に分析できるはず。みなさん、そう想像されるのだと思いますが、システムが繋がっていることと、データ が繋がっていることは、イコールではありません。
データベース理論を学ばれている方は、よくご存知のことと思いますが、データを繋ぐためには、表の中の1行1行を特定する情報、共通のキーが必要になります。
共通のキーとは (例)コールID (例)オペレーターID (例)お客様番号 (例)日付&オペレーターID ※複合キー |
共通のキーがあれば、データは繋がる
共通のキーがなければ、データは繋がらない
理屈としては、そういうことなのですが、実際の業務では、そんなに シンプルにはいきません。
こちらは、共通のコールIDがあるかを、整理する一覧表です。
コールIDと言っても、同じ発番体系が別のシステムに連携されなければ繋がらない。PBXが発番したコールID ➊は、CRM/BOT/音声認識に連携されるので繋がりますが、基幹/ナレッジ/感情解析/IVR には繋がらない。
ただし、同じシステム(CRM)の中で、複数の番号体系(コールID ➊と❸)を繋げて保持している場合もある。
その為、データコンシェルジュは、共通のコールIDが有るのか、無いのか、コールID ➊だけでは繋がらないけど、コールID ➋と❸も組み合わせれば繋がるのかどうかを判断します。
これからシステムを導入するタイミングであれば、コール ID ➊➋❸を、システム内に保持できるかどうか 、確認の上、要求しますが、共通のコールIDが無いなら無いで、深追いはしません。深追いすると、膨大なコスト(時間 / 人件費)がかかることの方が多いからです。
データコンシェルジュは、別の方法(複合キー)で代用しても問題ないか 、相談元(現場管理者)に提案します。
複合キー(1)日付&オペレーターID 複合キー(2)日付&お客様番号 複合キー(3)日付&時刻&オペレーターID 複合キー(4)日付時刻&お客様番号 |
ただ、複合キー(3)(4)のような、時刻まで含むキーは、データの精度が下がる可能性が高いので、余程の事情がない限りは、複合キー(1)(2)で対応することが多いです。
いずれにしましても、システムが繋がっていることと、データが繋がっていることは、イコールではなく、ひと癖もふた癖もある実情 を、ご理解頂けたのではないでしょうか。
次回は、分析との相性が悪い「転送」について、解説します。
●コンタクトセンターアワード2022審査員特別賞
『SPCCの成果創出サイクルを支えるシステムと現場の架け橋 ~DX 推進の秘訣はデータ活用の内製チームづくり~』
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