コラム

COLUMN

2024.06.18

スカパー!のコンタクトセンターを運営する社員ブログ

第4回 トークスクリプトのフレーズ 感情解析

みなさんは、トークスクリプトのフレーズに、どこまでこだわっておりますでしょうか。お客様にお伝えする言葉ひとつで関係性が高まり、KPIや品質も高まる可能性がありますが、今回は、トークスクリプトのフレーズに「感情解析」を活用した事例をお話します。

リテンションマーケティング

スカパー!では、リテンションマーケティングと称して、お客様に末永くご契約いただくための活動をしています。

その中でも、解約受付のタイミングでは、スカパー!の楽しみ方を再提案する為に、解約理由をヒアリングする、解約コンサルを行なっています。
これは、無理な引き留めを行うものではなく、あくまでも、お客様がまだご存知ない、より良いサービスを提案する、という活動です。(詳しくは、お客様への1対1のコンサルによる解約抑止のコラムをご参照ください)

解約コンサル 提案率

お客様により良いサービスを提案するには、スキルが必要です。これは、ベテランオペレーターであっても骨の折れる仕事ですが、トークスクリプトがあれば、安心して提案ができる、提案率も上がると、私たちは考えました。

ところが、オペレーターの提案率は、伸び悩みました。こちらは、実際のトークスクリプトのフレーズと、Aさんの提案率です。

「差し支えなければ、解約のご理由を伺えますでしょうか」

Aさんは、これでは提案しづらい、と言います。実際、提案率は32%と低めでした。そこで、フレーズ変更のトライアルをしました。

「スカパー!で何か至らない点がございましたでしょうか」

このフレーズの方が、Aさんは、提案しやすい、と言いました。さらに掘り下げて確認をしていくと、このような所感が得られました。

・ お客様に、私たちの気持ちや、お礼を伝えられる
心の底から心配していると、伝えられる
・ お客様に、解約理由を話したいと、思って頂ける

実際、Aさんの提案率は、65%と伸びました。確かに、直感的には、このフレーズの方がよさそうではあるのですが、もう少し、科学的にそれを証明したい… そこで、感情解析の技術を活用してみました。

感情解析とは?

感情解析とは、どんな感情が込められた発声かを解析できる技術で、言葉ではなく音(トーン)に含まれる自律神経の働き(無意識)を解析する技術である、とのお話でした。

つまり、感情解析を使えば、お客様やオペレーターのホンネが分かるかもしれない… 感情解析でオペレーターのココロを守りたい。そこで私たちは、2021年より、感情解析のトライアルを進め、仮説/検証を繰り返しました。最初は、無限の組合せが成立するデータ分析に苦戦しましたが、徐々に、ポイントが分かってきました。

誰が、いつ、何のために、感情解析を使うのかを整理する
➁すでに把握している成果指標と紐づける
 (例)NPS / 加入受付率 / 解約コンサル率 / オペミス
定量 / 定性 の両面から分析する

 

そして、ポイント①②③を踏まえて、トークスクリプトのフレーズを変更したらお客様の感情にどのような変化が現れるかを、確認していきました。

お客様の喜びと継続率

まず、私たちは、お客様の喜び、に注目しました。
Before(従来の解約理由の訊き方)の数値がこちらです。

感情解析では、お客様がどれくらい喜んでくださったのか、喜びスコアを取得できますが、この数値が大きいほど、お客様は喜んでくださった、ということを意味します。

After(フレーズ変更のトライアル)のスコアがこちらです。

Before(従来の解約理由の訊き方)は、お客様の喜びスコア 0.028
After(フレーズ変更のトライアル)は、お客様の喜びスコア 0.105

お客様の喜びスコアは、4倍高い結果がでました。解約理由の訊き方でお客様の感情は変化する、と科学的にも確認ができたので、提案できる機会が増えることを期待しつつ、正式にトークスクリプトの文言を改定しました。

トークスクリプト文言を改訂以降、お客様の喜びスコアはどうなったのか、直近2年間の推移がこちらの折れ線グラフですが、向上していることが、分かるかと思います。

ただ、感情解析は正しいのか?という議論も生じますので、私たちは、感情解析のスコア単独ではなく、別の成果指標と組み合わせて、その確からしさを判断しています。

それが、次のグラフ、解約コンサルの提案率と継続率です。どちらも、直近2年間で、増加傾向になりました。ここで言う継続率とは、オペレーターがお客様にスカパー!の楽しみ方を再提案した結果、お客様が契約を継続された率のことです。

このように、解約理由の訊き方ひとつをとっても、トークスクリプトのフレーズにこだわることが成果につながる、と実感できましたし、また、最新のIT技術が、成果をサポートできることも、実感しました。

次回、最終回では、それらの総合的な成果として、AHT / NPS / 離職率がどう推移したのかを、ご説明します。

最後に、SPCC社員の声を、お聞きください。

 


●2023年度カスタマーサポート表彰制度 特別賞(応対支援向上)

『トークスクリプトの視認性と感情解析によるフレーズで、効率と品質を同時に実現する』

第1回
トークスクリプトにこだわった背景
第2回
トークスクリプトの視認性 追求
第3回
トークスクリプトの遵守率 徹底
第4回
トークスクリプトのフレーズ 感情解析
第5回
トークスクリプトにこだわった成果(最終回)
スピンオフ
トークスクリプトは本当に必要?

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