コラム
2024.06.18
前回、視認性の高いトークスクリプトの構造についてお話しましたが、どれだけ視認性を追求しても、利用されなければ、効率と品質の改善には繋がりにくいです。今回は、トークスクリプトの利用状況を把握する難しさと大切さについて、お話します。
みなさんは、オペレーターのトークスクリプトの参照状況を確認したいと考えたことはありますでしょうか。また、そのデータは、どうすれば取得できるでしょうか。
私たちは、HTMLフォーマットのトークスクリプトを利用しておりますが、HTMLのログデータでも、GoogleAnalyticsでも、オペレーターごとの利用ログは、簡単には取得できませんでした。
恐らく、この問題は、ExcelやPowerPointのトークスクリプトを利用
されているセンターでも、同じように悩まれるポイントかと思います。
SPCCでは、トークスクリプトの利用状況を把握する為に、システム管理の効率化ツールとして導入していたSKYSEAを活用しました。
在宅ワークが進んだ今、多くの企業では、システムの監視ツールを導入しているかと思います。操作ログはおまけの機能ではありますが、PC上の全操作ログが取得できるのなら、これを利用できないだろうか、と考えました。
そして、SKYSEAの操作ログを調べていきましたが、オペレーターごとのトークスクリプト利用状況が分かるのは、SPCCでは、SKYSEAの操作ログだけでした。確認結果が、こちらの〇×表です。
オペレータごとの参照データがあれば、参照しない理由を確認して、改善活動ができる、つまり、トークスクリプト遵守率が分かる、と期待して、さらに、分析を進めていったのですが、行き詰りました。
トークスクリプトの遵守を定義するには、トークスクリプトの参照が必要な入電だったのか、その分母を特定する必要があります。ただ、複雑なスカパー!のサービスでは、トークスクリプトが100本以上ありますので、どのトークスクリプトが必要だったのか、その母数を特定するのは困難でした。
例えば、再加入を希望する音声ガイダンスから入ってきた電話であっても、必ずしも、再加入のトークスクリプトを使うとは限りません。
ご用件によっては、トークスクリプトを使う必要がないこともあります。
そこで、少し視点を変えてみました。
オペレーターにフィードバックして、改善活動ができればよいのですから、トークスクリプトの遵守率という定義にこだわる必要はありません。トークスクリプトを見たかどうかに注目するのではなく、トークスクリプトを全く見ていないことに注目してもいい。
そこで、トークスクリプトを全く見ていないオペレーター、参照ゼロのオペレーターを特定して、フィードバックすることにしました。
こちらが、各拠点別に、スクリプト参照ゼロ率を算出した結果です。
そして、オペレーター別にドリルダウンした結果がこちらです。
なぜ、トークスクリプトを全く参照していないのかを軸にして、管理者とオペレーターが対話を重ねることで、徐々に、トークスクリプトの参照回数が増えていきました。
こちらが、スカパー!カスタマーセンター全体の、直近2年間の、1応答あたりの、スクリプト参照回数の推移ですが、折れ線グラフが増加傾向にあると、見て取れるかと思います
そして、このトークスクリプト参照回数の増加と反比例するようにして、オペミスが減っていきました。
こちらをご覧ください。折れ線グラフが、直近2年間の、オペミス率の推移、棒グラフが、オペミスの件数の推移を示しています。どちらも、減少傾向にあることが、お分かりいただけるかと思います。
このように、私たちは、トークスクリプトの利用を推進することで業務品質の改善に繋げられたのですが、用意されたフレーズに納得感が無いと、オペレーターは、自己流のフレーズにシフトしてしまいます。
そこで、次回は、どのようにしてフレーズに納得感を持たせていったのか、「感情解析」を交えて説明します。
こちらが、取り組みの沿革です。
最後に、SPCC社員の声を、紹介します。
●2023年度カスタマーサポート表彰制度 特別賞(応対支援向上)
『トークスクリプトの視認性と感情解析によるフレーズで、効率と品質を同時に実現する』
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