コラム

COLUMN

2023.06.27

スカパー!のコンタクトセンターを運営する社員ブログ

第2回 オペレーターはコンサルスキルをどうやって習得したのか 〜知識・経験編〜

第2回もお読みいただき、ありがとうございます! 今回は、コンサルスキル習得に向けたオペレーターの育成方法について、 お話しします。

お客様お1人お1人と対話をしようとするとき、まず必要になるのがトー ク内容のバリエーションです。オペレーターの中にどのくらいサービス に関する情報や経験が詰まっているかで、コンサルの質はかなり変わっ てきます。 このブログではトーク内容のバリエーションを「引き出し」と呼ぶこと にして、その増やし方をご紹介したいと思います。 まずは解約のお電話を受けた際のトークの流れをご覧下さい。

解約希望の入電があったら…

トークの流れ 解約希望の入電があったら

ここに具体例を入れると、以下のようになります。

トークの流れ 解約希望の入電があったら 具体例

合わせ技、と書くと、「じゃあその掛け算の分だけ台本が用意されてい るの?」という疑問が湧くかもしれませんが、実は弊社では、提案内容 の台本を最小限しか用意していません。 なぜかというと、台本を用意すると、オペレーターがそれを「読んで」 しまうからです。 世間一般向けの台本を読んでいるのか、自分個人に向けて対話をしてく れているのかは、話し相手であるお客様に、想像以上に伝わってしまい ます。 そのため弊社では、必須の案内事項を除いたコンサルトークの内容は、 ある程度オペレーターに委ねています。

ここで必要になるのが、オペレーター自身の「引き出し」です。

先ほどの例で言うと、弊社のサービスにはどんな番組があって、それは 何のジャンルに属しているもので、安価に契約する方法があるのか、な どの情報が「引き出し」の中身に当たります。 なかなかにボリュームのありそうな内容ですね。

なぜオペレーター自身の育成を重視するのか

ここまでお読みいただくと、「引き出し」の中身は、システムやツール でカバーする方が効率的なのでは?という疑問が湧くかと思います。 ですが弊社では、あくまでもオペレーター自身の中に「引き出し」を育 ててもらうことを重視しています。それはなぜなのでしょうか。

先ほど、弊社では提案内容の台本を最小限しか用意していない、と申し 上げましたが、それは必須案内事項の話であって、お客様に合わせて案 内を変える部分、つまりコンサルに当たる部分は、台本ではなくツール でカバーしています。

SPCCで活用しているツール例

  • 特定商品のおすすめトーク集
  • TV・レコーダーのリモコン操作方法が分かるツール
  • トラブルシューティング用の診断ツール
  • お客様特性ごとのおすすめ番組リスト

しかしながら、便利なツールを用意しても、使ってもらえなければ意味 がありません。そして、私の経験上、「引き出し」を持たないオペレー ターは、必須案内事項以外の案内には踏み込まず、便利なツールがあっ ても活用しようとしません。

逆に、「引き出し」を育成中のオペレーターは、「自分にはまだ知識や 経験が足りない」ことを意識してくれるので、ツールを活用して、今以 上の応対を目指してくれます。

弊社ではこの「引き出し」を持つことを、全オペレーターに求めるベー シックなスキルとして位置づけ、入社直後からの研修を経て、半年から8 か月ほどで習得してもらっています。 ここでのポイントは、「引き出し」=「単なる知識」ではない、という ことです。
知識面のみで言うと、新規ご加入の受付時に習得する内容までで、「引 き出し」に含めるべき情報量の大半は網羅しています。 ですが、コンサルをするとなると、相手にとって有益な情報は何か、と いうことを、自身の経験をもとに判断する必要が出てきます。

以下は、弊社のオペレーターがスキルを身につける順序を示した図です。

オペレーターがスキルを身につける順序を示した図

はじめのうちは、チャンネルのラインナップさえ分かれば対応できる 「契約チャンネル変更」のお手続きを担当します。ここでの応対は大半 が「手続き」であり、お客様とのやりとりも、一問一答の質疑で済むこ とがほとんどです。

入社4か月後辺りからは、新規ご加入の受付を始めてもらいます。 ここでの応対には、「手続き」だけでなく、お客様に合う契約方法・プ ランをご紹介する「提案」要素が加わります。図に示した通り、オペ レーターが持つべき「知識」の量はこの時点でほぼ完成形に近づいてい るのですが、「経験」の積み重ねは、むしろここからが本番です。

「経験」とは何か、どうやって身に付くものなのかは、ひとくちには説 明できませんが、例えば、特定のお困りごとをお持ちのお客様に対して、 どんな提案をしたらどんな反応が返ってきたか、といった事例を、実際 の応対の中で蓄積し、自分の中でより打率の高いヒアリングのしかたや、 ヒアリング内容に対する切り返し方を練り上げることだと考えています。

弊社では、この「知識」と「経験」をあわせた「引き出し」が、オペ レーターの中である程度まで育った時点から、解約コンサルの応対を始 めてもらうことにしています。

オペレーターのコンサルスキルの評価方法

オペレーターがコンサルスキルを磨く上でも、目指すべき指標が必要で す。 弊社では、第1回でも取り上げた、解約コンサルにおける「提案率」と 「継続率」の2つを活用して、オペレーターのスキルアップや採るべき対 策のヒントにしています。以下の図は指標ごとの対策を示したものです。

指標での評価 課題 対策
提案率が低い場合 コンサルの必要性を理解していない・実践するほど 腑に落ちていない マインドセットを再度行う。納得感が得られないようなら管理者が面談を行い、オペレーターの意見に耳を傾ける。
ヒアリングや提案が苦手 ヒアリング・おすすめトーク集を使い、まずは実践してもらう。 棒読みにならないよう、複数あるトークからどれを選ぶかは、オペレーター自身で判断してもらう。
提案率は高いのに継続率が低い場合 お客様の要望の把握が苦手・提案が的を射ていない・お客様に響いていない (次ページ参照)

図を見ていただくと分かる通り、提案率が低い場合の対策ははっきりし ているものの、提案率が高く継続率が低い場合には、もう一歩踏み込ん だ対策が必要になります。 「なぜ」お客様に提案が響かないのかは、数字だけを見ていても分から ないからです。

ここで効力を発揮するのが、オペレーター応対のモニタリングとフィー ドバックです。 弊社では、日々の成果を見える化するためのKPIとして数値データを活用 していますが、同じかそれ以上に、モニタリングにも力を入れています。

解約コンサルのモニタリングでは、

  • お客様のお話や感情を受け止め、共感できているか
  • お客様の不満(要望)を正しく理解できているか
  • お客様への情報提供を、曖昧でなく分かりやすい文章で話せているか

などのポイントに特に注目し、改善点があれば、オペレーターと管理者 で一緒に音声を聞きながら、目指すべき姿の認識合わせを行います。

なお、解約コンサルのフィードバックにおける前提は、解約の意思が変 わらないのはマイナスではなく、デフォルトだ、ということです。

元々解約をしたくてお電話して下さったお客様ですから、お客様が解約に至ること = オペレーターの情報提供に不足があった、 と短絡的に繋げることはできません。 継続率などの数値は、あくまでモニタリングしたいオペレーターを発見 するための目安として活用し、実際の評価はオペレーターの応対の音声 を聞いて行うことにしています。

第2回のまとめ

  • オペレーターにコンサルのための知識・経験を 習得してもらうため、トーク台本をあえて最小 限の内容に留め、入社直後から自分の言葉で話 す訓練を積んでもらっている。

  • オペレーター自身を育成しないと、便利なツー ルがあっても、「活用しよう」という気になっ てもらえない。

  • コンサルスキルの評価においては、数値よりも モニタリングを重視する。

次回は、「オペレーターはコンサルスキルをどうやって習得したのか 〜会話力編〜」についてお話しします。

 


●コンタクトセンターアワード2022オペレーション部門賞

『お客様への1対1のコンサルによる解約抑止』

第1回
オペレーターに「やる気」になってもらうには
第2回
オペレーターはコンサルスキルをどうやって習得したのか ~知識・経験編~
第3回
オペレーターはコンサルスキルをどうやって習得したのか ~会話力編~

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