コラム
2026.10.30

トークスクリプトは「何を伝えるか」を明確にするツールですが、応対は⼀⽅的な情報伝達ではありません。本コラムでは、お客様の話を「聴く」ことを⽀える視点から、お客様との対話につながるトークスクリプトの考え⽅と設計のポイントを解説します。

「伝える」だけでなく「聴く」を⽀える──対話につながるスクリプト設計
コンタクトセンターでは、応対品質の標準化や案内漏れ‧誤案内の防⽌などを⽬的に、トークスクリプトが活⽤されています。お客様に何を確認し、どのような案内を⾏うのかを明確にすることは、安定した応対の⼟台となります。
こうした役割から、トークスクリプトを作成する際には、必要な情報を正確に伝えられるよう、「何を話すか」「何を伝えるか」というオペレータ側の発話に意識が向きがちです。しかし、コンタクトセンターの応対は、オペレータからお客様へ⼀⽅的に情報を伝えるものではありません。お客様の状況やニーズを正確に把握し、それに応じた案内を⾏うためには、まずお客様の話を「聴く」ことが必要です。
だからこそ、トークスクリプトには「何を伝えるか」だけでなく、お客様の話を「どう聴くか」という視点も求められます。
本コラムでは、お客様の話を「聴く」ことを⽀えるという視点から、お客様との対話につながるトークスクリプトの考え⽅と設計のポイントを解説します。
トークスクリプトには、案内すべき内容や確認事項を明確にし、オペレータの応対を ⽀える役割があります。しかし、記載された内容を正確に「読む」「伝える」ことに意識が向きすぎると、お客様の話を⼗分に聴かないまま、決められた案内を進めてしまうことがあります。
お客様からの問い合わせに適切に対応するためには、まず「何に困っているのか」「どのような状況なのか」「何を求めているのか」を把握することが必要です。同じ問い合わせであっても、お客様の状況やニーズによって、確認すべきことや案内すべき内容が異なる場合があるからです。
そのため、トークスクリプトを設計する際には、「オペレータが何を話すか」という視点だけでなく、お客様の話をどのように聴き、どのタイミングでどのような問いかけをするのかという視点を持つことが重要です。

お客様の話を聴き、問いかけながら理解を深め、判断‧案内へつなげる双⽅向のやり取り
お客様の話を聴いて状況やニーズを捉え、必要に応じて問いかけながら理解を深め、適切な判断や案内につなげる。こうした双⽅向のやり取りを⽀援できることが、お客様と「対話ができる」トークスクリプトのポイントです。
お客様の状況やニーズを正確に把握するためには、お客様⾃⾝の⾔葉に⽿を傾け、その意向や背景を捉える「聴く」ことと、判断や案内に必要な情報を確認するために「訊く」ことの両⽅が必要です。

お客様の話に⽿を傾ける「聴く」と、必要な情報を確認する「訊く」──その両⽅をスクリプトで⽀える
聴く お客様の話を「聴く」
お客様の話を「聴く」ためには、オペレータが判断や案内に必要なことを確認するために質問するだけでなく、お客様⾃⾝の⾔葉で話していただける機会をつくることが⼤切です。スクリプトを設計する際にも、確認すべき項⽬を整理するだけでなく、 「どのような問いかけで、お客様の話を引き出すか」という視点を持つ必要があります。
たとえば、「どのようなことでお困りですか」「どのような状況でしょうか」といった、お客様が⾃由に回答できるオープンクエスチョンを取り⼊れることも有効です。
訊く 必要なことを「訊く」
お客様から⾃発的に話していただいた内容だけでは、判断や案内に必要な情報が⼗分に確認できないことがあります。そこで重要になるのが、適切なタイミングで質問を投げかけ、判断や案内に必要な情報を確認する「訊く」というアプローチです。
スクリプト設計では、「何を訊くか」という質問を洗い出すだけでなく、それぞれを 「何のために訊くのか」まで明確にすることが重要です。これによって、「どのタイミングで訊くべきか」も⾒えてきます。
POINTたとえば、お客様の状況をいくつかの条件に照らして確認する場⾯では、「はい∕いいえ」など、選択肢で回答できるクローズドクエスチョンが効果的です。質問を重ねることで、お客様がどの条件に該当するのかを段階的に特定できます。さらに、回答によって次のステップが変わる場合には、その関係を分岐として整理しておくことで、お客様の状況に応じた適切な判断や案内につなげやすくなります。
ここまで⾒てきたように、お客様の話を「聴く」、必要な情報を適切に「訊く」。こうした応対をスクリプトで⽀援することで、さまざまな効果が期待できます。

双⽅向のやり取り‧正確な把握‧⼿戻りの抑制──スクリプトが⽀える3つの効果
効果1:双方向のコミュニケーションを支える
オペレータが案内を進めるだけでなく、必要に応じて問いかけ、お客様⾃⾝の⾔葉で話していただく機会を設けることで、会話のキャッチボールが⽣まれます。また、お客様の話を起点に応対を進めることで、⼀⽅的な案内になりにくく、お客様の状況や意向を踏まえたやり取りが可能になります。
効果2:正確な状況把握と案内を支える
お客様の話を「聴いた」うえで、判断や案内に必要な情報を適切なタイミングで「訊く」ことで、状況をより正確に把握し、誤案内や案内漏れの防⽌に役⽴てることができます。また、回答に応じた分岐をあらかじめ整理しておくことで、お客様の状況に応じて必要な確認を進め、適切な判断や案内を行いやすくなります。
効果3:応対の手戻りを抑える
質問の⽬的やタイミングを整理しておくことで、判断や案内に必要な情報を適切な段階で確認できるようになります。その結果、訊き直しや案内のし直しといった⼿戻りを抑え、不要な応対時間の伸⻑を防ぐことができます。
トークスクリプトを設計する際には、「何を伝えるか」だけでなく、お客様の話を「どう聴くか」という視点を取り⼊れることが重要です。お客様⾃⾝の⾔葉に ⽿を傾けて「聴く」、判断や案内に必要な情報を適切なタイミングで「訊く」。こうした応対をスクリプトで⽀援することで、お客様との双⽅向のやり取りを促し、より正確な状況把握や案内、応対の⼿戻りの抑制にも役⽴ちます。
⼀⽅で、スクリプトはあくまでも応対を⽀援するためのものです。実際にお客様の話をどう聴き、どのように受け⽌め、どのような⾔葉を返すかには、オペレータ⾃⾝の応対スキルが⼤きく影響します。より円滑なコミュニケーションのためには、スクリプトの設計とオペレータの育成、その両⾯から応対を⽀援することが⼤切です。
コ ンタクトセンターのトークスクリプト
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