コラム
2026.10.30

FAQやチャットボットで完結するシンプルな問い合わせが⾃⼰解決に移るいま、有⼈対応には「複雑な問い合わせ」への対応⼒が求められています。本コラムでは、オペレータが迷わず応対を進めるための「構造化トークスクリプト」の考え⽅と設計⼿法を、コンタクトセンター運営の実務視点から解説します。

複雑な応対を「構造化」して、オペレータが迷わず進められるスクリプトへ
近年、商品‧サービスの多様化や⼿続きの複雑化により、コンタクトセンターでオペレータが扱う情報量は増えています。
また、FAQやチャットボットなどによる⾃⼰解決が進み、⽐較的シンプルな問い合わせは有⼈対応以外のチャネルで完結するケースも増えています。これに伴い、有⼈対応では、複数の条件確認や判断を必要とする複雑な問い合わせへの対応がより求められるようになっています。
こうした複雑な応対をそのままトークスクリプトに落とし込むと、スクリプト⾃体も複雑になり、必要な情報の把握や次のアクションの判断が難しくなります。その結果、案内漏れや誤案内のリスクが⾼まり、AHT(平均処理時間)にも影響を及ぼします。
そこで重要となるのが、複雑な業務や情報を整理し、オペレータが応対の流れに沿って必要な情報を参照できる「構造化」の考え⽅です。
本コラムでは、オペレータが迷わず応対を進めるための「構造化トークスクリプト」の考え⽅と設計⼿法を、コンタクトセンター運営の実務視点から解説します。
複雑な応対では、お客様の状況や問い合わせ内容、確認結果などによって、その後の案内が複数のルートに分岐します。さらに、分岐ごとに必要な確認事項や案内内容、注意事項などが加わることで、トークスクリプトに盛り込む情報も増えていきます。
こうした複雑な業務をスクリプトに落とし込む際に重要なのが、「構造化」の考え⽅です。

散在する情報を整理し、応対の流れ‧判断条件‧分岐の関係性が明確なフローへ。
構造化トークスクリプトとは、複雑な業務や情報を整理し、応対の流れや判断条件、必要な情報の関係性を明確にしたトークスクリプトです。
単に情報量を減らしたり、画⾯上の⽂字を⾒やすく配置したりするだけではありません。「何を確認するのか」「どの条件で判断‧分岐するのか」「次に何を案内するのか」を整理し、オペレータが応対の流れに沿って必要な情報を参照できる状態をつくります。

「幹」を先に固め、「枝葉」(判断‧分岐)を後から整理する
設計は「棚卸し→幹(基本フロー)→枝葉(情報配置‧分岐)」の3ステップで進めます
①業務に必要な情報を棚卸しする
構造化の第⼀歩は、対象となる業務で扱っている情報を棚卸しすることです。お客様への確認事項や案内内容だけでなく、判断に必要な条件やルール、注意事項、例外的なケースなど、応対に関連する情報を洗い出します。
この段階では、どのようにスクリプト化するかを考えるのではなく、まずは業務を構成する情報の全体像を把握することが重要です。情報を⼀度可視化しておくことで、次のステップで応対の流れとの関係を整理しやすくなります。
②応対の「幹」となる基本フローを設計する
次に、応対全体の流れを整理し、「幹」となる基本フローを明確にします。
複雑な業務では、さまざまなケースや例外を想定する必要があり、個別の条件や細かな分岐に⽬が向きがちです。しかし、最初から個別のケースごとに細かな分岐まで組み⽴てようとすると、応対全体に共通する基本的な流れを捉えにくくなります。
まずは、受付から状況確認、判断、案内、クロージングまで、基本となる応対の流れを整理します。先に応対の「幹」を明確にすることで、全体の流れを⾒失うことなく、判断ポイントや分岐などの「枝葉」を整理していくことができます。

応対の「幹」(基本フロー)を先に固め、判断ポイントや分岐といった「枝葉」を幹に沿って配置していく
③基本フローに沿って情報を配置し、スクリプトを組み⽴てる
応対の「幹」ができたら、①で棚卸しした情報を基本フローと結びつけ、スクリプトとして組み⽴てていきます。
どの場⾯で何を確認‧案内するのか、どの情報をもとに判断するのかを整理し、応対の流れに沿って必要な情報を配置します。さらに、判断結果によって案内が変わる箇所には分岐を設け、基本フローに「枝葉」を加えていきます。
POINTすべての情報や応対を⼀つのスクリプトに収めるのではなく、業務や分岐のまとまりに応じてスクリプトを分ける、補⾜情報はFAQやナレッジを参照するなど、情報の役割や応対の流れに合わせて全体を組み⽴てることも重要です。
トークスクリプトの構造化は、応対の効率性や正確性だけでなく、業務習得やスクリプトの運⽤‧改善にもつながります。

効率‧正確性‧育成‧メンテナンス性──構造化がもたらす4つの効果
効果1:応対効率の向上
必要な情報や次のアクションを把握しやすくなることで、情報を探したり判断に迷ったりする時間を減らし、スムーズな応対を⽀援します。
効果2:正確な応対の支援
確認事項や判断条件、案内内容を応対の流れに沿って整理することで、確認漏れや案内漏れ、判断の誤りを防ぎ、正確な応対を⽀援します。
効率3:業務習得・育成の支援
応対の基本フローや判断ポイントが明確になることで、業務全体の流れや判断の考え⽅を理解しやすくなり、新⼈オペレータの業務習得を⽀援します。
効率4:メンテナンス性の向上
情報や分岐が整理されていることで、業務変更時に修正すべき箇所や影響範囲を把握しやすくなり、スクリプトの継続的な改善‧運⽤につながります。
複雑な業務をトークスクリプトに落とし込むためには、情報をただ盛り込むので はなく、業務全体を整理し、応対の流れや判断ポイントを明確にしたうえで構造化することが重要です。
業務に必要な情報を棚卸しし、基本となる応対の「幹」を整理したうえで、情報 や判断‧分岐などの「枝葉」を配置し、全体を組み⽴てる。このプロセスによって、オペレータが必要な情報を把握しやすく、迷わず応対を進められるトークスクリプトにつながります。
コンタクトセンターのトークスクリプト
<INDEX>
お気軽に
ご質問・ご相談ください
コールセンターや業務BPOで
57億円のコストカットを実現した
プロフェッショナルが解決策をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。